小児とカロリーメイトゼリー

 子供にカロリーメイトゼリーをあげてよいのかについて、栄養価や公式の回答なども含めて確認をとりましたのでブログにまとめます。

 結論だけかんたんに確認したい方は、「まとめ」をご覧ください。

 

 

1. 我が家には必須だったカロリーメイトゼリー

 卵と小麦のアレルギーがある我が子にとって、カロリーメイトゼリーはなくてはならない存在でした。なにしろ、

  • コンビニやドラッグストアなど、全国どこでもかんたんに手に入る。
  • 卵、小麦不使用。(含まれているアレルゲンは乳成分、りんご、ゼラチン)
  • ゼリー状のためパウチゼリーが食べられる年齢から摂取できる。
  • ある程度のカロリー(200kcal)と各種ビタミン等が摂取できる。
  • タンパク質もしっかり摂取できる(8.2g)
  • まとめて購入してもある程度日持ちする。
  • 外出先や車内でのお弁当代わりにピッタリ
  • 食欲がない時や病気のときにも便利
  • 食事に集中できない日が続いていても、これさえ飲んでいれば一定以上の栄養価がカバーできる(白米だけ食べてるよりずっとマシ)。
  • 朝急いで登園するときも車内でさっと朝ごはんとして食べさせられる。
  • 子供も好きなアップル味やフルーティーミルク味

と、それはもうとても便利でした。

 しかしながら、あくまで小児用に作られてはいない商品です。栄養価の調整などが気になったので、今回改めて確認してみました。

 

2. 十分すぎた栄養バランス

ゼリータイプ | 製品情報 | カロリーメイト公式サイト | 大塚製薬

 公式サイトを確認しますと、

ビタミンは1日に必要な量の約半分!

※1日に必要な量は「栄養素等表示基準値」をもとにしています。

との記載があります。

 (おそらく)大人用に作られた商品で、「約半分」と記載されているのが気になりました。つまり商品としては1日でも2パックまでの摂取を想定していると考えられます。

 そこで心配になってくるのが、「脂溶性ビタミン」と呼ばれる4つのビタミン(ビタミンD, A, K, E)のうち、特に摂取上限のレンジが狭いビタミンAです。

(「脂溶性ビタミンはこれDAKE!」って覚えてね)

 脂溶性ビタミンは体の中に溜め込まれやすいため、過剰に摂取した際にそのぶんだけ体内に貯蔵されやすい性質があります。

※特に動物由来(レバーや肝油など)のビタミンA(≒レチノール)が蓄積されやすいようです。植物由来のカロテノイド(≒βカロテンなど)は必要なぶんだけビタミンAに変換されるようです。

※ビタミンAの過剰症では、頭痛や嘔吐などの症状がみられることがあるとされています。

 

 下記のページを参考に見てみますと、子供の目安量と耐用上限量はざっくりとこんな感じになります。

f:id:FKFKN53:20220127235639p:plain

 

全年齢についての記載はこちらが詳しいです↓

ビタミンAの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット

※上記の健康長寿ネット内のソースは下記の厚生労働省のページから持ってきているようです。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

 

この数値を見て、

「目安量の2倍摂ったらもうオーバーなの?!範囲せっっっっま!!!!」

と思ったのが第一印象でした。

 ほかの脂溶性ビタミンは耐用上限量が10倍(ビタミンD)とか40倍(ビタミンE)とか上限なし(ビタミンK)なのに、ビタミンAだけ2倍?!と狭い。あまりに狭い。そして更に嫌な予感は的中しました。

 カロリーメイトゼリーの栄養価を確認しますと、ビタミンAは1パックあたり385μg含まれています。

「1-5歳児は1日2パック食べたらもうオーバーしてるじゃん!!!!!」

 いやー、ショックでしたね。カロリーメイトゼリーは素晴らしく便利なアイテムではありますが、連日3食/day使うわけにはいかない、いざというときのための最終手段だったようです。

 

(一応、「日本国内だけの基準だったりしないかなー......他国だと上限緩かったりしないかな」と他の国の文献も確認してみましたが、だいたい同じくらいの数値が記載されていました)

Vitamin A in pediatrics: An update from the Nutrition Committee of the French Society of Pediatrics

 

3. 大塚製薬に問い合わせてみた

 ちょっと心配になってきたので大塚製薬にメールで問い合わせてみたところ、送った当日に返信がきました。

この度は、カロリーメイト ゼリーにつきましてお問合せをいただき、誠にありがとうございます。

カロリーメイトゼリーに使用しているビタミンAはレチノールでございます。
βヨノンから合成されたビタミンA油を原料としております。

 レチノール!!つまり蓄積するほうのビタミンAですね!アカン!!!やっぱり1日1パックまでだこれ!

お子様のビタミンAの1日の耐容上限量がございますので、ご留意の上、ご利用いただければ幸いに存じます。

と、しっかり釘も刺されました。(気をつけます......)

 

 しかし一緒にありがたいコメントもついておりました。

カロリーメイトゼリーは食品ですので、ご利用いただく年齢に制限はございません。
離乳食が完了したお子様であれば、お食事の補助としてご利用いただけます。

 「子供に食べさせてはいけないものではない」というお墨付きを公式からいただくことができました。この点については安心できますね。ありがたいです。

4. 使用上限量を計算してみた

 (1)1週間単位で計算してみる

 そうは言っても、「子供が具合悪くてどうしてもこれしか受け付けない」「今日この日さえしのいでくれれば......」っていう日は子育てしてるとありますよね。

 それに、栄養価だって「毎日1日摂取推奨量を死守する」わけじゃなくて、前後数日で平均して合計で目標量が摂れてればいいので、1週間のなかに摂取量のムラがあってもいいと思うんです(私感です)。

(例えば、「前日2パック摂ったら翌日は摂取を控える」など)

(とはいえ、1食に2パック連続で摂取するのは急激にビタミンA摂取量が多くなりすぎると思われるのであまり推奨はできないと思います)

 

 そこで、「1日1パック」ではなく、「1週間で考えるとどのくらいまで使えるのか?」を計算してみました。

 カロリーメイトゼリーのビタミンA含有量が385μg/パックで、1-2歳でのビタミンA耐用上限量が600μg/日なので、単純に計算すると、

7日間→耐用上限量は600×7=4200μg

4200/385=10.9パック

 よって、「1週間に10パック摂ってるとかなり上限ギリギリ(11パックは確実にとりすぎ)」というのがわかります。

 また、カロリーメイトゼリーの他に口にするものからビタミンAを摂取する可能性もありますので、これよりも少ないくらいが理想的と言えるでしょう。

 (2)フォローアップミルクとの併用を考える

 子供向けの食品で、栄養バランスが整えられているものと言えば、そう、フォローアップミルクですね。これにもやはりビタミンAが含まれているため、カロリーメイトゼリーの摂取量を気をつけていてたとしても、フォローアップミルクからビタミンAが追加されて最終的にオーバーしてしまうようでは意味がありません。

 そこで、「1日あたりカロリーメイトゼリーを1パック摂取した場合のフォローアップミルクの摂取上限量」を計算してみました。

 

 我が家で使用しているフォローアップミルク、「ぐんぐん」に含まれるビタミンAの量は、100gあたり360μgです。スプーン1杯=7gあたりで50ccぶんのフォローアップミルクが作れますので、それを元に計算すると、

600-385=215μg (1日あたり摂取できるビタミンAの残りの量)

7g=50ccあたり 25.2μg (ぐんぐん50ccあたりに含まれるビタミンAの量)

215/25.2=8.5杯

8.5×50=425cc

 よって上記より、カロリーメイトゼリーを1パック飲んだ日は、ぐんぐんの摂取量を、多くても400ccまでに抑えておいたほうがよいようです。

 

 またフォローアップミルクだけではなく、ビタミンAを多く含む肝油ドロップなどを使用しているご家庭の場合は、カロリーメイトゼリーを摂取した日は肝油ドロップの摂取を控えたほうがいいかもしれませんね。

5. おまけ

 ちなみに、何でも入ってそうなカロリーメイトゼリーですが、実は鉄分は含まれていません。0です。そのため、鉄分をカバーしようと思ったら別なものを検討する必要があるようです。

 そこで気になったのが、森永のゼリー飲料であるinゼリー。鉄分補強タイプも販売されているのですが......

inゼリー マルチミネラル | inゼリー・inバープロテイン | 森永製菓株式会社

  • 乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。​

と、公式サイトの下部には赤字で注意書きがありました。

inゼリーは子供への摂取は推奨されていないようです。

 

6.まとめ

今回の記事の要点をまとめます。

  • 離乳食が終わった子が補助食品としてカロリーメイトゼリーを摂取するのはOK(公式回答より)
  • ただし5歳までは平均1日1パックまで
  • カロリーメイトゼリーを摂取した日は、フォローアップミルクの量に気をつける。(参考: ぐんぐんなら400cc/dayまで)
  • その他ビタミンAを多く含む食品やサプリにも注意する
  • inゼリーは子供には使用しないほうがよい

 

 以上です。

 この記事がこれを読んだ方のお役に立てるといいなと思います。